無意識に職場を疲弊させる残念な人とエッセンシャル思考のすすめ

ライププランABC編集部

あなたの周りに、無意識のうちに職場を疲弊させる”残念な人”はいないでしょうか。

本人は悪気がないものの、仕事において力を入れるべき論点を間違え、周囲に心理的負担をかけてしまう残念な人。そんな人がやがて全体の生産性を下げてしまう──。

そんな残念な悪循環を断ち切る鍵が「エッセンシャル思考」

忙しい現場でこそ求められるのは、限られた時間とエネルギーを、もっとも重要なことに集中させる意識。

ところが、職場には、この逆を行くような行動を無自覚にしてしまう人が時々いる。
たとえば、ちょっと調べればわかるような些末なことを質問してしまう、優先順位を把握せずに周囲に本当は無用な対応を強いる、などだ。

こういった行動が、同僚に心理的負担をかけているが、当の本人は気づいていない。
だが受ける側からすると、小さな負荷の積み重ねが大きなストレスとなり、全体のパフォーマンスを確実に下げている。

1. 忙しいときに些末な質問をしてしまう残念さ

現場がバタバタしているときに、些細な確認事項をいちいち持ち込む人がいる。
その内容は、正直、自分で判断できるレベルのことだったり、急ぎでないことも多い。質問する側は”確認しただけ”のつもりでも、質問される側は作業を中断しなければならず、集中力が途切れ、リズムが狂う。

その問題は今、確認しないといけないのか? 5分、10分、自分で調べたり考えたりすれば済むことではないか? 相手の状況を想像せず、”とりあえず聞く”行為は、意図せずして同僚への心理的負担を増やしている事がある。

2. 期限前に”とりあえず仕上げる”ことが最善とは限らない

ビジネスの世界では”スピード感”が称賛されがちだ。

しかし、必要以上に早く仕上げることが、かえって迷惑になるケースもある。
たとえば、まだ仕様変更が起きるかもしれない段階で、早々にアウトプットを出してしまうと、あとからやり直しが発生し、結果的に手間もコストも膨らむ。

さらに、受け取る側も今すぐレビューできるとは限らない。
“先に提出したんだから、見てください”という無言の圧力をかけることになり、これもまた心理的負担になる。

期限までの時間をフルに使い、状況を見ながら適切なタイミングで仕上げる──これも立派な配慮だ。
スピード重視一辺倒では、かえってチーム全体を疲弊させるリスクもある。

3. エッセンシャル思考がもたらす職場の健全化

エッセンシャル思考とは、「より少なく、しかしより良く」だ。何でもやるのではなく、真に必要なことにリソースを集中させる。そのためには、

  • 本当に今、これをやるべきか?
  • この質問は、今、誰かに聞く必要があるか?
  • 今このタイミングで仕上げるべきか?

常に自問自答する習慣が不可欠だ。そして、相手の状況やチーム全体の動きに思いを馳せること。それが結果的に、自分自身の信頼を高め、職場全体の生産性を底上げすることにつながる。

エッセンシャル思考を実践する人は、無駄な確認や不要なタスクを減らすだけでなく、周囲のストレス要因そのものを減らしていく。これは単なる効率化以上に、”人間関係のストレス緩和”という大きな恩恵をもたらすのだ。

4. “自分のため”ではなく”チームのため”に思考を切り替える

“自分が楽をするため”ではなく、”チーム全体のパフォーマンスを上げるため”に行動を選ぶ。そういう意識転換が、今、日本のビジネスパーソンには求められている。

質問するときも、納品するときも、ただ単に”自分が次に進みたいから”ではないか? その行動が本当にチームにとってベストか? そう考えられるかどうかで、あなたの価値は決まる。

周囲を無駄に消耗させないこと──それもまた、プロフェッショナルとしての重要な資質だったりする。

さいごに

エッセンシャル思考を身につけるとは、単なる時短テクニックではない。周囲に与える心理的負荷を最小限に抑えつつ、重要なことに集中するという生き方だ。

無意識に同僚を疲れさせる残念な行動を、今こそ手放そう。必要なことに絞り、必要なときに動く。その積み重ねが、働きやすい職場をつくり、最終的に自分自身を最も助けることになるのだから。

エッセンシャル思考ワークブック