DAO(分散型自律組織)って何?フリーランスとどう違う?

ライププランABC編集部

DAO(分散型自律組織)とフリーランスは、働き方や組織の構造において異なる概念です。それぞれの特徴を見てみましょう。

DAO(分散型自律組織)

DAO(分散型自律組織)、
分散型自律組織…と急に言われてもに何かわからないですよね。
それはその通りだと思います。現状の日本で、このDAO(分散型自律組織)によってのみ運営されている営利を追求している組織ってほとんどないのではないでしょうか。

なのでピンと来ないのも当然の事です。

でもこれから来そうな組織運営の手法なので、一度概要を見ていきたいと思います。

DAO(分散型自律組織)の目的は特定のプロジェクトや目標を達成するための共同作業です。
プロジェクトやサービスの運営、投資などに使われます。

Coincheck
  • 構造
    DAOはブロックチェーン技術を基盤にした分散型の組織で、中央の管理者がいないのが特徴です。
    DAOの意思決定は、トークンを保有するメンバーによって行われ、全員が平等に参加できることが目指されます。
  • ガバナンス
    すべての意思決定はスマートコントラクトや投票システムを通じて行われ、メンバーは自分の持ち分に応じて意思決定に参加します。
  • 報酬
    メンバーはその貢献に応じてトークンなどの形で報酬を受け取ることが多いです。
    DAOの報酬体系は、伝統的な給与体系とは異なり、参加や貢献に基づいて柔軟に決定されます。

DAOを導入するための具体的な方法

DAO型組織を運営するためには、分散型で透明性が高く、効率的に運営されるための具体的な要素が必要です。
以下に、それらのポイントを説明します。

1. 目的とビジョンの明確化

  • DAOは共通の目的に向かって活動する組織なので、明確なビジョンとミッションが重要です。
  • 成員が目指すべき目標とその意義を共有することで、意思決定の指針となります。

目的とビジョンは組織運営の根幹をなす部分ですよね。
明確なビジョンとミッションが全員揃っていないと、現状の組織運営もままならないのはどんな組織でも同じですよね。

2. スマートコントラクトの設計

  • DAOはブロックチェーン上のスマートコントラクトで運営されるため、これらのプログラムを正確に設計する必要があります。
    • ガバナンスルール(投票方法、提案の受付、意思決定フロー)
    • トークン分配やインセンティブの仕組み
    • 資金管理のルール(支払い、予算)

例: EthereumのSolidity言語を用いてコントラクトを作成する。

スマートコントラクト…直訳したら「賢い契約」って感じ?

3. トークンエコノミーの構築

  • DAOに参加するインセンティブを提供するために、トークンを活用します。
    • トークンを用いて、ガバナンス権(投票権)や報酬を分配。
    • トークン設計において、以下を考慮:
      • 発行量と配布方法
      • トークンの価値維持(例: バーン機能)
      • 流動性と取引の仕組み

4. ガバナンスの設計

  • 分散型組織としての意思決定プロセスを明確化。
    • 投票方式(例: 一票制、トークン保有量に応じた投票)
    • 提案と承認プロセス(例: 提案後一定期間の議論→投票)
    • フォークの対応(意見が一致しない場合の分離)

ツール例: SnapshotやAragonなどのDAOガバナンスプラットフォーム。

5. 透明性とコミュニケーションの確保

  • DAOの全活動がブロックチェーン上で記録されるため、透明性は基本ですが、メンバー間のコミュニケーションも重要です。
    • オープンな議論の場を提供(例: Discord、Telegram、専用フォーラム)
    • 定期的なレポート作成や進捗共有

6. コミュニティの構築と運営

  • DAOは参加者のコミュニティで成り立つため、活発な参加と信頼の醸成が必要です。
    • 新規参加者への教育と支援
    • モチベーションを維持するためのイベントや報酬制度
    • 課題があれば、迅速に議論・解決する場を設ける

7. セキュリティ対策

  • スマートコントラクトや資金管理におけるセキュリティリスクを最小化する。
    • コードの監査(例: CertikやOpenZeppelinによるセキュリティレビュー)
    • マルチシグウォレットの採用(例: Gnosis Safe)
    • バグバウンティプログラムの運営

8. 法的・規制対応

  • 各国の規制に適合するよう、法的リスクの管理を行う。
    • 弁護士や法務チームの活用
    • トークンの証券性判定(Howey Testなど)
    • 登記が必要な場合の手続き(例: 法人化されたDAO)

9. 運営ツールの活用

DAOの運営を円滑に進めるために以下のツールを活用:
ガバナンス

Snapshot(Web3のガバナンスや意思決定に広く使われている分散型投票システム)
Aragon(DAOの立ち上げや運営に利用できるツール。ガバナンストークンの作成や配布、投票、資金管理などの機能を備える)
Tally(ガバナンスの実現をサポートするガイドラインである「コーポレートガバナンス・コード」を指します。企業が株主や顧客、従業員、地域社会などの立場を考慮して、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うために参照すべき原則を取りまとめたものです。)

財務管理

Gnosis Safe(DAOの財務を保護するために使用できるデジタルプラットフォーム)
Colony(イギリスのスタートアップ企業が開発したソーシャルコラボレーションプラットフォーム)

コミュニケーション

Discord(オンラインでコミュニケーションを行うためのプラットフォーム)
Telegram(メンバー管理が容易で、独自のサーバーやチャンネルを作成できるため、コミュニティのオンライン拠点や議論の場として利用されています)
Discourse(DiscourseフォーラムはDAOの「上院議会」のようなもので、提案に対する正式な議論やフィードバックの場となっています。by「DAO:分散自立型組織の革命とその全貌に迫る」)

分析

Dune Analytics(データ分析ツール)
Etherscan(Ethereumネットワーク用のブロックチェーン・エクスプローラーで、Ethereum上のトランザクションを確認できます。)

10. 持続可能性の確保

  • DAOを長期的に運営するための資金や参加者の確保。
    • 資金調達(例: クラウドファンディング、トークンセール)
    • 定期的な参加者の増加戦略
    • 自動化を進めて効率性を向上

DAOの成功は、これらの要素が相互に機能し、参加者が自由かつ積極的に活動する環境を構築できるかにかかっています。運営にあたっては、小規模な試行から始め、徐々に拡大することをおすすめします。

DAOの具体例

DAOの具体的な事例としてBitCoinが代表的ですが、日本にも事例はあるのでしょうか。

Ninja DAO

Ninja DAOは、「CryptoNinja(クリプトニンジャ) NFT」という作品のコミュニティで、国内最大級のDAO組織です。人気インフルエンサーのイケハヤ氏によって創設され、同氏とクリエイターのリツ氏がプロデュースしています。

CryptoNinjaのキャラクターは誰でも使用していいことになっているため、コミュニティでは、多様なクリエイター活動が行われていることが魅力です。CryptoNinjaの小説や漫画、YouTubeコンテンツやメタバースゲームの開発などがあり、楽しませてくれます。人気を博しているCryptoNinjaは、TVアニメ化も実現しています。

NinjaDAOの詳細はこちら

WEB3のいろは

ドットジェイピーDAO化プロジェクト

ドットジェイピーDAO化プロジェクトは、NPO法人ドットジェイピーをDAO化し、運営の促進を試みるプロジェクトです。非営利組織が抱えがちな課題である人材リソース不足やPR・マーケティング不足を補い、社会課題の解決スピードを加速させることが期待されています。

700名程度の大学生が中心となって活動しており、活動で獲得できるトークンは事業運営に必要な書籍購入費などの経費として消費可能です。協力者にもトークンを配布し、交流イベントへの招待などインセンティブを設定。長期的に運営に協力してもらえる環境を整えています。

ドットジェイピーDAO化プロジェクトの詳細はこちら

WEB3のいろは

HENKAKU Discord Community

HENKAKU Discord Communityは、多様なメンバーがweb3について学ぶDAO的コミュニティです。主催は、かつてマサチューセッツ工科大学 (MIT) の研究所、メディア・ラボの所長を務め、現在は千葉工業大学 変革センターを牽引する伊藤穰一氏。現状はコミュニティが完全に運営をコントロールしている訳ではないため、DAO”的”コミュニティとなっています。

コミュニティ内で、学びのアウトプットやコミュニティへの貢献などのクエストをクリアするとトークンがもらえます。トークンでメンバーシップや、投票、プロジェクトマネジメントをコントロールする仕組みです。リアルイベント「HENKAKU BAR」も開催しており、入場料はトークンで決済されました。

HENKAKUの詳細はこちら

WEB3のいろは

日本にもDAOのプロジェクト事例ってあるんだね。
身近なところでPTAとか自治会、マンションの管理組合とかがDAO化すると面白いかもね。

DAOのメリット

  • 参加している各人が意思決定権を持つことができる
    従業員は各自が意思決定の権限を持つことにより、企業経営に参加している意識を持てる。
    そういう意味では従業員のエンゲージメントが高めやすいと言える。
    運営と意思決定はスマートコントラクトというシステムによって自動化されているが、オープンソースにしていることから透明性が高く、人の手を介さないため不正が起きにくい仕組みになっている。
  • インターネット環境さえあれば誰でも参加可能
    国籍や性別に関係なく、インターネット環境さえあれば誰でも参加可能。リモートワークと相性が良いと言える。
  • 匿名での参加も多く認められている
    顔や実名を明かさずにプロジェクトに参加することができる点が、従来の組織と大きく異なる。
  • 変化に強い組織が作れる
  • 現場でのスピーディーな意思決定が実現できる
  • 低コスト運営

DAOのデメリット

  • 組織全体の意思決定に時間がかかる
    投票によって決定するため、トップダウンによる意思決定ができない。ルールを変更しにくい。
  • 組織全体としてのリスク管理や情報共有が難しい
    セキュリティの懸念がある
  • 立ち上げ費用が高額になる可能性がある
  • 法整備や税制が追いついていない
    投資には慎重な姿勢が求められる
  • 各々のセルフマネジメントが必要
    責任感やセルフマネジメント能力が低いメンバーがいると、組織としての生産性が低下する可能性がある

ここまで見てきていろいろ言うのはナンだけど、
DAOってまだ日本では法整備も追いついていないし、
インターネット環境さえあれば誰でも参加可能とか、
匿名参加認められているとか、
リモートワークと相性が良いとか、
現状では闇バイトの組織運営とかに使われてしまいそうな要素が多いな、と思ってしまうのはボクだけか?

そこはDAOの法務や運営方法などの知識をより深く知っておくことでリスクヘッジできるやろ

フリーランス

フリーランスは自己のスキルを活かし、さまざまな業界においてクライアントのニーズに応じた業務を提供します。

  • 構造
    フリーランスは、企業や組織に所属せず、個人として仕事を受ける働き方です。クライアントと契約を結び、特定のプロジェクトや業務を遂行します。
  • ガバナンス
    フリーランスには組織的なガバナンスはなく、基本的に個人の自由で仕事を選びます。報酬の交渉も自由に行います。
  • 報酬
    フリーランスの報酬は契約に基づいて支払われます。時給、プロジェクト単位、または成功報酬など、契約内容により報酬体系は異なります。

DAOとフリーランスの主な違い

  • 構造
    DAOは分散型の共同体で、メンバーの協力によって運営されますが、フリーランスは個人が独立して働く形態です。
  • ガバナンス
    DAOはメンバーが集まり、共同で意思決定を行いますが、フリーランスは自己管理のもとで業務を進めます。
  • 報酬
    DAOの報酬はトークンや持分に基づくことが多く、フリーランスはクライアントとの契約に基づいて報酬を得ます。

これらの違いを考慮して、自分に合った働き方を選ぶことが重要です、と言いたいところですが、DAOが一般的になるまではまだまだ時間がかかりそうですね。