新入社員研修がスムーズに!人間関係の距離を縮める「魔法の質問」

ライププランABC編集部

新年度が始まり、新入社員が入社した、という会社員の方も多いのではないでしょうか。その中でも、新入社員の研修を任されるという中堅社員の方もたくさんいる事でしょう。

毎年春になると、緊張した面持ちの新入社員たちを迎え、限られた時間の中で社会人としての基礎を伝えるという大きな責任を担うことになります。本当にお疲れ様です。

しかしその中で、こんな悩みを感じたことはありませんか?

  • なかなか受講者との距離が縮まらない…
  • 講師の言葉が一方通行になっている気がする…

そんなときにぜひ取り入れていただきたいのが、「アイスブレイクとしてのちょっとした質問」です。

これは堅苦しい企画ではありません。朝会やお昼休み明けなどに、講師側から“軽く問いかける”だけでOKなのです。
たった一言の質問が、講師と新入社員の関係性に、ひいては、今後の会社でのコミュニケーションにも大きな変化をもたらします。

本記事では、心理学の視点も交えながら、研修におけるアイスブレイクの効果と、実際に現場で使える質問例をご紹介します。

1. アイスブレイクは空気をやわらげる潤滑油

新入社員研修の冒頭、あるいはちょっとした合間の時間。
このタイミングで、最近ではオンライン研修も多いので、Zoomのチャット欄などで「最近観た映画で面白かったものは?」「今朝何食べました?」といった軽い質問を講師が投げかけるだけで、場の空気がパッと明るくなることがあります。(もちろん、チャット欄の質問に答えてもらうだけの空気感を作る事も重要です)

新入社員たちは「自分のことを聞いてくれている」と感じるとともに、話すことによって緊張が緩み、研修により前向きな姿勢で臨むようになります。

講師にとっても、受講者がどんな人なのかを知るきっかけになり、双方向のコミュニケーションが生まれる土台が築けます。

2. なぜ“質問”が関係性構築につながるのか?

ここで注目したいのが、心理学的な視点です。
講師側から質問することは、受講者との距離を縮めるためのとても強力な手段なのです。

心理学①:返報性の原理

人は、誰かに何かをしてもらうと、そのお返しをしたくなる心理が働きます。
講師から関心を向けて話しかけられると、受講者は自然と「応えたい」「協力したい」と思うようになります。

心理学②:ベンジャミン・フランクリン効果

この効果は、「人は、相手に何かをしてあげることで、その人に好意を持つようになる」という心理現象です。
新入社員が、講師の質問に答える、つまり“行動”を起こすことで、「この人に協力した」と感じ、その結果として講師に親近感や愛着を抱くようになるのです。

心理学③:自己開示の連鎖

質問に答えることで自分の情報を開示した新入社員は、講師にも親しみを感じやすくなります。
しかも、それを講師が受け止めてくれると、さらに自己開示が進み、信頼関係の構築に発展します。

3. 講師からの“ちょっとした質問”が生む効果

実際の研修現場では、次のような効果が見られます。

  • 新入社員が声を出しやすくなり、その後のグループワークやディスカッションにも前向きに参加するようになる
  • 講師がフラットな存在として受け止められ、質問や相談がしやすくなる
  • チームの一体感が育ちやすくなり、配属後の職場適応がスムーズになる

これらの効果は、たった一言の問いかけがきっかけになるのです。

4. 朝会・昼休み明けにおすすめ!“ゆるい質問”例

以下にご紹介するのは、講師側から気軽に投げかけられる「アイスブレイク質問集」です。
答えるのに1分もかからないような、軽い話題が中心です。

  • お昼ご飯は何を食べましたか?(←おすすめ)
  • 初任給で何を買いましたか?(←おすすめ)
  • 今朝の気分は晴れ?くもり?雨?
  • 最近笑ったことはありますか?
  • 寝る前にするルーティンってある?
  • いま欲しい家電は?
  • 学生時代にハマったことは?
  • 初めて買ったCDやダウンロード曲は?
  • 最近見た面白かったYouTube動画は?
  • 今、一番食べたいものは?
  • 一番好きな曜日とその理由は?

こうした質問を研修の冒頭、昼休憩明け、1日の終わりのふり返りなどに組み込むと、コミュニケーションが一気に活発になります。

また、数人の新入社員に順番に聞いたり、挙手制で答えてもらったり、Zoomなどのオンラインなら全員にチャットで答えてもらうというのも良い方法です。

質問の内容や状況によっては選択式にしてあげると手軽に回答できるようになるのでいいかもしれません。

5. 質問タイムは「講師のため」でもある

ここで一つ面白い観点をご紹介します。
講師が質問をし、新入社員がそれに答える――。
実はこの行為は、新入社員が“講師のためにアクションを取った”という構図になります。

このとき、新入社員の心の中には「この人(講師)のために、何かをしてあげた」という感覚が芽生えます。
これが心理学でいう「ベンジャミン・フランクリン効果」です。

人間は、自分が手間をかけた対象に対して親近感を抱く傾向があります。
つまり、新入社員が講師のために答えたことで、講師に対して自然と好意や信頼が生まれやすくなるというわけです。

これは押しつけではなく、あくまで自然な流れで生じるもの。
ちょっとした質問が「信頼される講師」になるための第一歩になるのです。

6. 最後に:質問が生み出すのは“安心感”

講師からの軽い質問に答える体験は、新入社員にとって「自分の声が届いた」「受け入れてもらえた」という安心感につながります。

その安心感があるからこそ、研修での学びも深まり、将来的な業務への定着もスムーズになります。

特別な演出や複雑なワークは必要ありません。
朝や休憩明けに、「今日は何か面白いことあった?」と一言問いかけてみる。
その小さな一言が、講師と新入社員との関係を大きく変えてくれるのです。

講師の皆さんのちょっとした工夫が、未来ある新入社員たちの可能性を大きく広げるきっかけになりますように。

おもしろい人が無意識にしている 神雑談力